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Moondrop Aria(2021) レビュー「1万円以下で迷いなくおすすめできるイヤホン」

今回のレビューはいつもとちょっと違って頂いたものになります。10月14日に31歳を迎えたのですが、その際に誕生日プレゼントとしてMoondrop Ariaというイヤホンを頂きました。

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Moondrop Aria

ということで当ブログ初の自腹を切っていないレビューとなりますが、ちゃんとレビューはしますのでご安心を。

開封

外箱

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最近流行りの2次元キャラクターのパッケージです。Moondropがやりだしたような気がしますが、音のイメージを伝える手段としてはいいんじゃないかなと思います。Moondrop Ariaはこの絵と音であまり相違は無いと思うのでアリです。

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イラストが描かれた外装を外すと化粧箱とご対面です。マットブラックに淡い金の線を組み合わせたデザインは高級感を感じます。

中身

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箱の上部にイヤホン本体。下にはケースとケーブル、イヤーピース、交換用のフィルターとピンセット、説明書、保証書が収められています。

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付属のケースは最低限のサイズであまり余裕がありません。

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ケースの中にはイヤーピースとケーブルが入っていますが、見た通りあまり余裕はありません。本体を入れるとなるとちゃんとケーブルを巻いてあげないといけないですね。

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こちらが純正ケーブル。見たところ布で覆われたツイストケーブルです。ツイストにむらがありますが、しっかりと癖がついていてほどけることは無いと思います。

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純正イヤーピースですが、他の付属品と比べると見た目も手触りも安っぽさが目立ちます。サイズが6種類あるのはいいですね。

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イヤホン本体です。パッケージと同じくマットブラックに淡い金色の線が入ったデザインで高級感を感じます。

レビュー

さて本題の質レビューです。再生機器はいつも通りFiiO M11 Plus LTD AAを使用し、ケーブルやイヤーピースは全て純正を使っています。使用時間はエージングも含め80時間ほどです。

音質

基本的な特性はHS1300SSと似た解像度が高いV字傾向の特性ですが、HS1300SSが一つ一つの音を繊細に鳴らすことに全力を出しているのに対し、Ariaは解像度やクリアさを維持したまま少しシャリっとした派手な音を鳴らします。派手な音と言っても高音から低音までバランスの取れた音が広がり、その中でボーカルは埋もれることなくしっかりと耳に届きます。各音域の優れたバランスと解像度や一つ一つの音のクリア感の高さからくる音です。
高音はクリア感が良く、キラキラとした煌びやかな鳴り方でありながら適度に刺さりが抑えられていて聞き疲れしにくくなっています。悪く言えば天井に当たっているような少し硬い音にも聞こえますが、価格を考えればこのレベルに達していることが驚きです。中音から低音は少しザラつきを感じますが、ボーカルは埋もれることなくはっきり聞こえますし、低音の量感も良いと感じました。
バラードやコーラスも良い音で聞くことができますがロックやメタルなどもそつなくこなしてくれます。はっきりと得意なんだなと思うのは瞳の中のシリウスのような一つ一つの音が繊細に響くようなバラード曲ですが、サバトンのような激しさとスピード感のあるパワーメタルも意外とそつなくこなします。

ボーカルから高音にかけての伸びは少し限界を感じますが、それでも1万円以下とは思えないレベルに達しています。1万円以下で細氷を聞くことができるイヤホンです。ボーカルの艶やかさは中音から低音にかけて感じるザラツキもあり、あと一歩といった惜しい印象です。

音圧が強いEDMもまたそつなくこなします。

低音もしっかりと締まった音で芯と量感があり、それでいて中音や高音を邪魔するようなことはありません。解像度のチューニングが高いレベルで行われている証拠なのではと思います。よくある低音が中高音に被っているような音は皆無です。

平沢進の金星も囁くようなボーカルとどこか哀しみを感じるアコギの音がしっかりと広がります。

1万円以下という価格を考えると様々なジャンルの曲をそつなくこなしてしっかり鳴らしてくれるAriaは同価格帯で敵無しなんじゃないかとさえ思えます。音の傾向はパッケージに描かれたイラストから連想するイメージと非常に近く、V字傾向の特性ながら高い解像度とクリア感によって各音域が被ることなくバランスの取れた音にチューニングされています。
所有しているイヤホンで似た実売価格のものは実売8000円のPioneerのSE-CH9Tですが、どの要素でもAriaのほうが良い音だと感じました。スペックではSE-CH9Tはハイレゾ対応(5Hz~50000Hz)、Ariaハイレゾ非対応(20Hz~20000Hz)となっていますが、高音の再現性やクリア感はAriaのほうが圧倒していますし、中音や低音の音質、全体的なバランスでもAriaのほうが良いと感じました。
他の同価格帯イヤホンと比べても音質はAriaが一枚上手でしょう。この価格帯のイヤホンは酷い物になると高音の歪みや中音の擦れを低音を不自然に強調するチューニングでお茶を濁すような音作りをしているものもありますが、Ariaは解像度や個々の音の分離を追求することで真っ向勝負を挑んでいるような印象です。
悪く言えば個々の音の粗がどうしてもわかりやすく感じてしまいます。高音の伸びに限界を感じるような天井に当たる音になっていたり、ボーカルや低音にザラつきを感じます。こういったネガティブな部分を下手に隠そうとしていないところもAriaの特徴でしょう。
実はHS1300SSを試聴した際にAcoustune以外のイヤホンで迷ったのはMoondropのイヤホンだけでした。特にこのAriaは最後までHS1300SSと迷ったイヤホンです。その際にも2万円の価格差の半分くらいは確実に迫る音を感じましたが、高音の自然さやクリア感の高さでHS1300SSを選びました。しかし実際に長時間使ってみるとAriaの音も良いと感じました。Ariaの音はHS1300SSとの価格差をかなり埋めるポテンシャルがあるように思えます。ただ、どうしても明確に差を感じる部分もあります。HS1300SSは音が飽和して奥深くに埋もれているような場面でも個々の音を聞かせてくれますが、AriaはHS1300SSよりも限界が早く来てしまい埋もれたままになることもあります。それでも1万円以下のイヤホンとしては最強クラスであることには間違いありません。

装着感

イヤホン本体は特に変な形をしているわけでもなく多くの人の耳に合う形で収まりの良い装着感を得られます。ケーブルの取り回しも良く、耳かけ部分には癖付けもされています。イヤーピースのフィット感も悪くありませんが、交換すればさらに良い装着感を得られるでしょう。

総評

Moondrop Ariaは1万円以下の価格帯で最強クラスのイヤホンです。高い解像度、優れたクリア感、バランスの取れた各音域のチューニングなど、音質についてどの部分も高いレベルでまとまっています。これが1万円以下で出せるところがMoondropが積み上げてきた技術の結果なんでしょうし、これから出てくるMoondropのイヤホンにも期待できますね。
そしてバランスの良いチューニングはイヤーピースやケーブルの交換で違いを感じやすいため、そういう部分での楽しみもできるでしょう。Moondropの交換用ケーブル「秋月」も頂きましたので、別記事にて違いをレビューしたいと思います。
もし予算1万円でイヤホンを探しているなら是非試聴してみてください。Ariaは1万円以下で迷いなくおすすめできるイヤホンです。