おはこんばんちは、あぶさんです。
今回レビューする製品は、final のエントリークラスを担うイヤホン「E1000」です。発売から7年が経とうとしていますが、その音質は今でも通用するのでしょうか。
最近はKZ製品のレビューが連続していました。良い印象が無いし買う気もしないという理由からKZ製品のレビューは避けていたのですが、ブランド発足から15年が経過し、さすがに少しは良いと言えるライバルとも肩を並べられるような製品があるのではと思い、Castor と Vader の2製品をレビューしました。結果的にKZのイヤホンは褒められた音質ではなく、レビューのために耳に装着して音楽を聴くという行為が苦痛でしかありませんでした。
手元にレビューしていないKZ製品が残っている現実から目を背けたかったことに加え、KZ製品によって疲弊した耳と脳を癒やすためにまともなオーディオを聞きたいという欲求が生まれ、同価格帯のエントリークラスイヤホンとして final E1000 を購入した次第です。

- final E1000 の概要
- 音質の評価条件について
- 音質「エントリークラスながら final らしいサウンド」
- フラットをベースとして中低音を強調した周波数応答バランス
- 滑らかで雑味の少ない自然な音色と質感
- 空間表現、エア、残響、分離、解像度は標準的
- 詳細分析
- 明瞭で刺さらない高音
- プラスチック筐体ながら癖を感じさせない中音
- 古さを感じるボーカル
- サブベースの減衰が気になる低音
- Nabwela ‑ Elijah Solo, Daniel Music (Spotify)
- Doin' it Right (feat. Panda Bear) ‑ ダフト・パンク, Panda Bear (Spotifyロスレス)
- Danny Boy ‑ Jacintha (Spotify, CD音源)
- Slow Orbit ‑ yaya3 (Spotify, CD音源)
- Just A Little Lovin' - Shelby Lynne (Spotify, ロスレス音源)
- モーメンツ・ノーティス ‑ M. Sasaji, L.A. Allstars (Spotify, ハイレゾ音源)
- 青春コンプレックス ‑ 結束バンド (Spotify, ハイレゾ音源)
- 総評「優れたエントリークラスだが、世代交代の時が来ている」
final E1000 の概要
final E1000 の発売は2018年11月。なんと7年前のイヤホンです。ビギナー向けでも「いい音」を提供するというコンセプトで登場したEシリーズの中で、E500の登場までエントリークラスとしてオーディオへの入口としてあり続けたイヤホンであり、ハイエンドモデルの技術や知見を盛り込むことで final らしい「いい音」を実現したとされています。
7年が経過した今でも「新しいエントリー機」と言い続けるのはどうなのと思わなくもないので、もうそろそろ2世代目を作っても良いのではと思います。
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final E1000 のパッケージ

店頭でフックにかけて陳列されることを前提としたパッケージです。E2000やE3000のパッケージよりも細長いデザインとなっているのは、エントリー機として価格をできる限り抑えるためなのでしょう。
最低限と言ったところのパッケージです。中華系ブランドと違うのはイヤホン本体に保護のためのシートが貼り付けられていることです。こういうところに国産を感じますね。
final E1000 の本体

円筒形のハウジングに固定式のケーブルというオーソドックスで驚きのない構成です。ハウジングはプラスチック製で、お世辞にも高級感があるとは言えません。せめて表面が艶消しであれば印象が大きく変わったと思います。
ハウジングには空気を通すための穴が2箇所あり、側面には製品名とL/Rを判別するための小さなモールドがあります。このL/Rのモールドは本当に小さく、左右の判別を難しくしてしまっています。
カラーバリエーションは黒/青/赤の3種類があります。青/赤のカラーではハウジングの一部しか色が変わらず、その色もなんだかくすんでいるようにみえるため安っぽい印象に拍車をかけています。 先に書いたようにL/Rの判別に難があり、特に暗いところで判別することは不可能に近いことです。final としてはイヤーピースの軸の色で判別させるという意図のようですが、ハウジングそのものの色を左右で分けるなどのアプローチが欲しいですね。final の開発者は、常に明るく照らされている開発室でしかイヤホンを使用しないのでしょう。
6.4mmのダイナミックドライバーを採用
E1000 のドライバーは6.4mmのダイナミックドライバーです。これはE2000と同じものだと考えられます。なぜなら、final 公式ストアで使用されているドライバーの写真が両者で同じものだからです。
特筆すべきところは特に無いドライバーですが、final は自社でドライバーの開発から生産まで一貫して行う技術力を保有していることや、最近は少し迷走気味なもののオーディオに関する知見やフィロソフィーには一定の信頼があるメーカーであるため、その品質は期待して良いと思われます。
ケーブルは固定式のOFC
安価な価格帯でも2pinやMMCX端子を備えてリケーブルを可能とする製品が多い昨今ですが、final E1000 はリケーブル不可の固定式を採用しています。
黒い被膜に覆われたオーソドックスなケーブルであり高級感は皆無です。やや細いため断線の心配があること、成形時の応力が残っているためネジリ方向に癖が付きやすいことなど、いくつかの問題点はありますが通常の使用では特に問題無いかと思います。
私個人としてはリケーブルの是非を否定しませんが、中華ブランドの低価格イヤホンにありがちな「リケーブルを前提とした最低限のケーブルを付属させるパッケージング」には強く反対しています。リケーブルを前提として品質の悪いケーブルが付属しているなら、その製品のチューニングはどのように行われたのでしょうかという疑問が残るためです。製品に付属しているケーブルでチューニングを行ったのであれば音質が良なるわけがありませんし、別のケーブルを使用してチューニングを行ったのであればユーザーを騙す行為となります。
それを踏まえて考えると、final E1000 のチューニングは価格に比例するコストの中で完成されていると言えるため、リケーブルという余計なコストを考えなくても良いため安心できます。
その他付属品

他にはイヤーピースと保証カードが入っています。説明書はWEBサイトからPDFでダウンロードする形です。
イヤーピースは final Eタイプのブラックが5サイズ付属します。このイヤーピースは装着感・音質ともに非常に良好で、単体で1000円弱の価格で販売されています。
先に書いたように E1000 は本体でL/Rを判別しづらいという欠点があります。finalはイヤーピースの軸の色で判別させるという方法を採用していますが、final Eタイプには7種類のカラーバリエーションが存在するため、そもそも傘の色を左右で違うものを付属させて欲しいところです。
価格
final E1000(マイク無し)の定価は2,530円です。2025年9月時点では定価、もしくは2500円弱で販売されていることが多く、店頭では2,230円で販売されていました。
私はeイヤホン日本橋本店の店頭で購入したため2,230円で入手しています。ただし、レビューにおいては定価の2,530円を基準とします。
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音質の評価条件について
エージング(慣らし)について
100時間以上のエージングを終わらせた状態の個体を使用しています。
エージングには手持ちのFLAC音源とSpotifyで作成した音質評価用プレイリストを使用しています。
付属品について
ケーブルは変更できないのでそのままとして、イヤーピースも付属品を使用します。イヤーピースの交換を行った場合は、その旨を明示します。
評価で使用する言葉について
音質評価に使用する言葉は ITU-R から発行された Report ITU-R BS.2399-0 に準じた単語・表現を使用するようにしています。 Report ITU-R BS.2399-0 の言葉と必ずしも一致するとは限りませんが、言葉で伝えるという手段を選択している以上、わかりやすい表現を使用して齟齬なく伝えようとする努力を行っています。
ITU-R BS.2399-0 については以下のPDFにて詳細を閲覧可能です。
R-REP-BS.2399-2017-PDF-E.pdf
https://www.itu.int/dms_pub/itu-r/opb/rep/R-REP-BS.2399-2017-PDF-E.pdf
評価に使用する音源について
音質評価に使用する音源は、手持ちのCDから取り込んだFLAC音源とSpotifyで作成した音質評価用プレイリストです。Spotifyのプレイリストは公開していますので店頭での試聴の際などでも使用できます。
音質評価用プレイリスト内の楽曲については以下の記事で解説しています。
abusan3225.jp
また、Spotify で最大24bitのロスレス配信が始まったことに合わせて、24bit音源のみに限定したプレイリストも作成しました。
評価に使用する再生機器について
final e1000 のレビューでは以下の機器を使用しています。
| 機種名 | ゲイン | 音量 ※1 | フィルター | 備考 |
|---|---|---|---|---|
| SONY NW-ZX707 | Low | 52 | --- | Powerampを使用 ソースダイレクトON |
| HiBy R6 Pro Ⅱ | Low | 39 | Low Dispersion Delay Filter | ABアンプ |
| HiBY FC6 ※2 | --- | 13 | Darwin Ultra | NOSモード HDRオフ |
| SteelSeries GameDAC Gen2 | Low | -30 | --- | |
| LG V60 ThinQ 5G | --- | 15 | クリーン |
※1. 音量の調整にはSpotifyで配信されている WONDER POP by Moe Shop を使用しています。音量の均一化を有効化し、音量レベルを低音量にした状態で、私が普段の音楽鑑賞で使用する音量設定に合わせた場合の値です。イヤホンのスイッチについては全てOFFの状態です。
※2. FC6はmotorola eddge 50 ProにDDHiFi TC09Sを用いて接続し、スマホ側の音量設定を100%に設定しています。
上記に加え、機器間のインピーダンス差による音質変化を吸収するためのバッファーアンプとして Umbrella Company HP-ADAPTER を使用しています。
客観的な評価をするように努めていますが、あくまでも私個人の経験を共有するものです。聴覚には個人差や好みによる違いがありますので、購入の際には可能な限り実際に試聴されることをおすすめします。
音質「エントリークラスながら final らしいサウンド」
E1000 は2,500円というオーディオ製品として見れば非常に安価なイヤホンですが、自然な音色に滑らかな質感があり、全体的に豊かさを感じさせるサウンドは final ブランドであることの証拠でしょう。
周波数応答はフラットをベースとした中低音重視のバランスで、空間表現も高さや奥行きは平凡ですが窮屈さを感じさせません。最良とは言えないもののエアや残響も表現されており、音の豊かさという部分でも価格以上のものがあると言えます。
低価格帯のイヤホン(特に中国系ブランド)では、いわゆるドンシャリと呼ばれる極端なチューニングなどを行っている製品があります。そのような製品は面白さや個性という意味での驚きはありますが、オーディオ的には問題だらけなものが多数あるのが現状です。それらの製品と比較すると、E1000 のサウンドからはマトモなオーディオの音を感じます。
ただ、発売から7年が経とうとしていることもあり、全体的な音質の方向性に古さを感じることは否めません。エントリー機でありながら final Eシリーズに相応しいサウンドではありますが、サブベースまで含めた低音、より優れた分離の良さ、より明瞭な高音、より滑らかな女性ボーカルの倍音など、改善が必要な部分は多いと感じました。
フラットをベースとして中低音を強調した周波数応答バランス
E1000 の周波数応答バランスは、人間の聴覚上で高音から低音まで均一に聞こえるフラットと呼ばれるバランスをベースとして、中音から低音までの範囲(100Hz~1kHz)をブーストした中低音重視バランスです。
安易な低音のブーストは、共振による音のブレが発生したり分離感を悪化させる原因となりますが、E1000 では特に目立った悪影響は感じられません。
強い駆動力を持つ環境では低音を特に好む人が満足するような強力なミッドベースを感じさせます。スマホのイヤホンジャックや安価なDACドングル、高特性型のアンプなど、駆動力(≠出力)が低い環境ではフラットな傾向へ近づきます。中低音をブーストしたチューニングは、可能な限り低コストで使用したいというシチュエーションをターゲットとしているとも考えられます。
滑らかで雑味の少ない自然な音色と質感
周波数応答バランスとは違い、音色や質感は常に final らしい滑らかで雑味の少ない印象を保ちます。良好な装着感と合わせて長時間の使用でも疲れづらいサウンドです。かと言って THIEAUDIO Elixir のような優しさに特化したサウンドではなく、音楽を楽しみながら不必要に疲れさせないような音質にチューニングされています。
もちろんハイエンドモデルのようなサウンドではありませんが、音色に目立った癖はなく、擦過音や掠れ、歪み、音の詰まりなども抑えられています。価格とは裏腹に音の質という部分で優れた製品であることがわかります。
空間表現、エア、残響、分離、解像度は標準的
空間表現は基本的にドライバーの内側にありますが、少し外に染み出すように広がることがあります。高さや奥行きはやや狭く、左右に広がる楕円形の音場です。エアや残響は上流側の表現力にも左右されますが、ドライバーの内側に留まるため価格なりの及第点と言ったところでしょう。音の分離や解像度は価格を考えれば上出来といった具合です。
詳細分析
明瞭で刺さらない高音
E1000 は中低音をブーストしていることもあって高音が弱いとされることが多いです。確かに中音や低音と比べると高音が少し目立たない印象を受けることがあるものの、決して高音の音質が劣るわけではなく、価格を考えれば良い方だと言えます。
高音そのものの音質は明瞭でありながら不快な刺激を抑えたチューニングです。ドラムスのシンバルは程よいシズル感があり、ピアノは確かな音像を感じさせ、弦楽器の倍音は滑らかな伸びを見せます。エレクトリック系の鋭い電子音も歪むこと無く鳴らすことができます。優れたBAドライバーが鳴らす繊細で輝きのある高音は鳴りませんし、もう少し明瞭さが欲しいと思うところはありますが、価格を考えれば上出来ではないでしょうか。
プラスチック筐体ながら癖を感じさせない中音
プラスチック筐体の小型イヤホンでは、素材やサイズの特製から中音から低音にかけての共振が問題となることが多く、音質を向上させるには限界がありました。中音は人間の聴覚でも感度が高く、少しの粗でも感じやすいものです。
E1000 の中音は価格を考えれば自然だと言えます。音色に目立った癖がなく、弦楽器の生演奏などでも不自然だと感じません。強いて言えば全体的に柔らかい質感があるため、少し湿っぽさを感じるかもしれません。もう少し抜けの良さがあればと思うところですが、2,500円のイヤホンに求めるものではない気もします。
古さを感じるボーカル
ボーカルは概ね男性・女性ともに滑らかで湿っぽさを感じさせる良いサウンドですが、女性ボーカルの艶に物足りなさを感じたり、僅かなサ行の刺さりや倍音の擦過音が気になるなど、価格相応に粗もあります。2025年の新製品では改善されている要素も多く、E1000 が古いイヤホンだということを思い出すでしょう。
サ行の刺さりや倍音の擦過音は外耳道内での共鳴現象が原因となっていることが多く、イヤーピースの交換などの手段でドライバーと鼓膜の距離を変えることで解消することが可能です。また、付属のイヤーピースである final Eタイプは内径がやや細いため、内径が太いイヤーピースへ交換することでもボーカルの音質を改善できる余地があります。手元にあるイヤーピースをいくつか試してみましたが、Moondrop 清泉、AZLA SednaEarfit Standard、KBEAR 07、JVC スパイラルドットなど、内径が太いイヤーピースへの交換が効果的でした。
サブベースの減衰が気になる低音
低音はミッドベースを中心として強調されており、スマホなどの低音が不足しやすい環境でも十分な量感を得られます。タイトでキレがあり共振も抑えられているため、概ね質の良い低音をブーストされたバランスで楽しむことができます。体が自然と動き出すようなサウンドです。
E1000 の低音で問題となるのはサブベースを中心とした深みでしょう。これは100Hzを頂点としてサブベースが徐々に減衰していくように周波数応答がチューニングされているためです。ジャズやR&B、ロック、メタル、ポップスでは大きな問題となりませんが、サブベースを重視するエレクトリックでは低音の広がりが出ないなどの影響が出ます。
サブベースの減衰はノズルの近くにある穴をテープで塞ぐことで解消できますが、テープの種類や貼り方などで音質が大きく左右されますし、筐体が共振に耐えられずノイズの原因となります。そのままの状態で楽しむことも良い選択肢です。
Nabwela ‑ Elijah Solo, Daniel Music (Spotify)
ジャズやR&Bなど、生バンド編成のサウンドであれば概ね問題なく楽しめるでしょう。確かな量感があり、タイトでキレを感じさせ、リズムの変化も聞き取りやすい質の良い低音です。プラスチック筐体では振動対策が難しいのですが、さすがは final と言ったところでしょう。
この楽曲はSpotifyロスレスにて24bitでの配信がされています。24bitの解像度を持つ低音は鳴らすことが難しいのですが、E1000 の低音が良い音質を持っていることがわかります。
Doin' it Right (feat. Panda Bear) ‑ ダフト・パンク, Panda Bear (Spotifyロスレス)
サブベースの減衰(ロールオフ)は、エレクトリック系で使用される深く沈み込むように広がる低音で問題となります。低音が広がらず、キックだけが浮いてしまうのです。
エレクトリック系をメインで聞くのであれば他のイヤホンを検討したほうが良いでしょう。
Danny Boy ‑ Jacintha (Spotify, CD音源)
この楽曲は Jacintha のアカペラで始まりますが、このソロが絶唱と呼びたくなるほど素晴らしく、思わず息を呑んでしまいます。
Neumann M49 で録音されたボーカルは最高の一言。E1000 でも十分に楽しむことができますが、イヤーピースを交換することで擦過音を消すことができ、ボーカルのエアも少しだけ良くなります。あまりにも心地よいサウンドを鳴らすため、聞きながら寝落ちしてしまいました。
Slow Orbit ‑ yaya3 (Spotify, CD音源)
ハモンドオルガンの風圧を感じさせるかのような低音と、小気味よく抜けるサックス、そして多彩なテンポを鳴らすドラムス。簡単なようで、ちゃんと鳴らそうとすると難しい1曲です。低価格帯のイヤホンではシンバルの音が目立ちすぎて耳障りに感じたり、ハモンドオルガンのベースが共振してブワブワとノイズを出したり、サックスの勢いが出ていなかったりします。
低音が悪いとハモンドオルガンの音は広がりすぎてしまったり、逆に妙に固くなってしまったり、中音のサックスやドラムスに影響が出たりと歪みやすいのですが、E1000 は音程の変化を捉えながら他の音も聞き取りやすく、バランス良く聞くことができます。
Just A Little Lovin' - Shelby Lynne (Spotify, ロスレス音源)
リムショットは高音から中音まで幅広い帯域に跨っており、たった1つの音に広大な空間を感じさせるエアが含まれています。この1音で空間の広さがわかるのです。それ以外にも大きな空間を感じさせるエアがたっぷりと含まれており、その中でリバーブが効いたボーカルがふわっと浮かびます。
E1000 のエアは及第点と言ったところで、あくまでもドライバーの内側に空間を感じさせる印象に留まります。もう少しドライバーの外側へ染み出すようなレベルなら良かったのですが、2,500円の製品に求めすぎでしょうか。
モーメンツ・ノーティス ‑ M. Sasaji, L.A. Allstars (Spotify, ハイレゾ音源)
冒頭のスタジオに広がる拍手は団子にならず水平に広がらなければいけません。E1000でドライバーの外側へ音が回りだす数少ない音源の1つです。LAらしいカラッとした空気を感じたいところですが、E1000は僅かに湿っぽい音を出すため拍手の音も少し優しく湿り気があるように感じます。
この音源は分離や解像度が悪いと音が団子になりやすいのですが、E1000 では特に大きな問題は感じられませんでした。価格相応ではありますが、多彩なサウンドをしっかりと鳴らすことができています。
青春コンプレックス ‑ 結束バンド (Spotify, ハイレゾ音源)
エントリークラスということもあり、こういうジャンルも十分に楽しめる必要があるでしょう。驚きや面白さという点では物足りないかもしれませんが、各パートがごちゃごちゃと混ざることはなく、特徴的なシンバルも輝きこそないものの明瞭さは保っています。
中華系ブランドにありがちなドンシャリでは埋もれてしまうボーカルも E1000 のサウンドは聞かせてきます。バランス良く楽しめるエントリー機としての完成度の高さを感じさせます。
総評「優れたエントリークラスだが、世代交代の時が来ている」
「買う価値なし」「検討の余地あり」「購入候補に入る」「即買い」の4段階で評価します。
私の結論は 購入候補に入る となります。
良い点
- フラットをベースとした中低音重視の聞きやすいバランス
- 滑らかで優しく楽しませるサウンド
- 輝くほどではないものの明瞭で刺さらない高音
- 概ね自然で癖のない中音
- タイトでキレのある低音
- 非常に良好な装着感
良くない点
- もう少し抜けの良さが欲しい
- エアや残響が物足りない
- 古さを感じさせるボーカル
- サブベースの減衰
- リケーブルができないため断線時のリカバリーができない
final E1000 は素晴らしいエントリークラスイヤホンです。概ね価格相応、もしくは価格以上の音質を持ち、スマホのイヤホンジャックでも使える気軽さもあります。
ただ、その音質には5年以上前のイヤホンであることを感じさせる部分があり、もうそろそろ世代交代をしても良いのではと思います。また、上位機種も同様に古くなっているため値下がりが起きており、600円ほど足せば E2000 が購入できますし、1600円を足せば E3000 に手が届きます。さらに、2,000円以下で販売されている E500 は E1000 よりも現代的なサウンドを手に入れています。同価格帯の他メーカー製品も年々レベルアップしているため、2025年に E1000 を強くおすすめするのは躊躇します。
E1000 は素晴らしいイヤホンであることは間違いありませんが、他の選択肢を十分に考慮してから選ぶべきです。