Abusan’s Journey

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ANIMA AOW01 アイドルマスターミリオンライブ コラボモデル レビュー

おはこんばんちは。今回はANIMA AOW01というワイヤレスイヤホン(TWS)をレビューします。

ANIMA AOW01は以前にもレビューしましたANIMA ANW01をベースとしたアイドルマスター ミリオンライブとのコラボモデルです。
過去にもONKYO・Pioneerブランドとコラボしたイヤホンがいくつかありますが、AOW01はアイドルごとにパッケージのイラストを変えて52種類販売するということをやってきたため担当アイドルが2人いる私は2つ買うことになりました。

外観・特徴

パッケージにはアイドルのSSRカードのイラストが使用されています。

ベースとなったANW01は、高価格帯のイヤホンを専門としているAcoustuneのワイヤレス専用サブブランドとしてスタートしたANIMAから初めて販売されたTWSです。

ANW01のパッケージにもイラストが描かれていますが、パッケージ内の製品が入っている方向に合わせて縦のイラストが使用されています。
AOW01はパッケージイラストはSSR画像のものを使用しているため横になっていますが、パッケージ内の構造はANW01と同様のため縦方向に製品が入っています。
スポンジを横方向に対応したものに変えるだけなので、ここはちゃんと外観と同じ方向で揃えてほしかったですね。

パッケージ内の製品はANW01と同じく縦方向

ANW01とAOW01の製品自体は完全に同じ形状です。AOW01はコラボモデルを表すロゴの追加、イヤホン本体のLEDインジケーターがミリオンマークへ変更、専用ボイスの実装、ワイヤレス充電への対応が行われています。

AOW01(左)とANW01(右)

付属品も全く同じものが入っています。
イヤホン本体、充電ケース、イヤーピース3サイズ、イヤーフィン3サイズ(フィン無しは最初から装着済み)、USBケーブル(Type-C)、説明書、保証書

ケースや本体のサイズはANW01と全く同じです。そのためイヤーピースの選択肢がほぼありません。一番改善して欲しかったところなのに……
SpinFit CP350, CP1025やSednaEarfit Crystalなどが一応選択肢としてありますが、どれも蓋が微妙に閉まらなくなったり、サイズによっては充電自体に問題が起きてしまう可能性に留意する必要があります。

ONKYOによる音質監修について

AOW01はONKYO(東京音響)による音質監修(チューニング?)が行われています。恐らくドライバーやDSPへの変更まで行うようなものではなく、専用アプリからの選択できるイコライザープリセットによる音質変更のことを指しているのかと思います。

AOW01の接続時に専用アプリから選択できるイコライザーはINTEGRALの1種類のみです。INTEGRALプリセットの説明文にはこう書かれています。

低域のグルーブ感とボーカルの距離感を意識したチューニングです。
低域に関してはサブベースまでしっかりと鳴らすことで低域のキック感が損なわれないように意識しています。
また、高域は抜け感や繊細な華やかさを持たせつつ、シサツ音をなるべくへらすことで気持ちの良い広域になるように意識してチューニングしています。
現代的なプリセットに仕立てています。

イコライザープリセットの選択画面
最初から「グルーブ感」というよくわからない表現がされていてちょっと困惑しますね。
INTEGRALとは完全体をなすために不可欠な、必須のという意味となり、an integral partで無くてはならない部分という意味となります。好意的に解釈するならどのジャンルにも合わせられるオールマイティなプリセットということでしょうか。

ONKYOにチューニングについて問い合わせたところ、下記のような回答を得られました。

音色の傾向としては低域のグルーブ感とボーカルの距離感を大事にしています。特に低域に関しては最近のアニソン・ゲームソングはサブベースまでしっかりと鳴らすことが出来るようにしないと
低域のキック感が損なわれるためそこを意識しています。また、高域は安易に増やしていくと耳障りになってしまいます。
そのため、抜け感や繊細な華やかさを持たせつつ、シサツ音をなるべく減らすことで気持ちの良い高域になるように意識してチューニングしています。

Twitterで公開されたものと同じです。ここでもグルーブ感という謎の表現があります。

音質

先に断っておきますが、ワイヤレスイヤホンの音質レビューは使用するBluetoothコーデックにLDACやAAC(LDACとAACに非対応の場合はSBC)を指定した状態で行います。
AOW01はSBC, AAC, aptXに対応していますのでAACを使用したレビューだと思ってください。aptXを使用しない理由は、aptXは音に原理上避けられない歪みが発生してしまうため音質をレビューするには不適切だと判断したためです。

箱出しでは低音がかなり強いバランスで、低音自体の質も締まりが悪く太ってしまっているため他の音域に被ってしまっていました。約25時間ほどのエージングで全体のバランスが整い出し、100時間のエージング終了時ではやや低音寄りのV字傾向バランスへと変化しました。
ANW01と同様に優れた解像度と分離感があり、その部分については特に破綻しているような印象はありません。アコースティックとまでは行かないものの、個々の音をはっきりと明瞭に鳴らしながらドンシャリにはならない多くの人が聞きやすいだろうというバランスに仕上げられています。
ANW01のMIDNIGHTやNIGHTプリセットと比べると全域で音の輪郭が僅かに丸くなり、はっきりとしたリファレンス寄りのサウンドだったMIDNIGHTやNIGHTと比べると刺激が少ないと感じます。完全にリスニング寄りへ変化しているわけではなく個々の音をはっきりと明瞭に鳴らす傾向は残っているのですが、全体的に物足りなさを感じてしまう音質です。
どちらかというとMIDNIGHTやNIGHTプリセットのほうが現代的で、INTEGRALプリセットは従来のバンド系サウンドをメインとしたサウンドという印象を受けました。全体を通してはっきりと鳴らしたいのか自然に鳴らしたいのかが定まっていないようで、何を聞かせたいのかがわかりづらいと感じます。

高音

高音は輪郭が丸い印象で刺激が少なめです。ANW01と比べると物足りなさは感じますが、多くの人にとって聞きやすい音だとは思います。
個人的にはもう少し伸びて欲しいなと思うところがあります。確かに刺激の強い高音は耳障りになることもありますが、AOW01は逆に落としすぎてしまって聞かせどころのない中庸な音という印象が拭えません。

中音

中音は特に妙な癖もなく、細かいところの粗も抑えられ良い質感を持っています。中音全体に言えるのですが、近すぎず遠すぎないところで定位しながら非常に聞きやすい距離感だなと感じました。

ボーカル

ボーカルは少し刺さりを感じ、女性ボーカルでやや尖ったような印象を受けました。ハイ上がり気味なところがあり歯擦音もあります。

低音

低音はANW01との違いを最も感じます。低音自体はやや強めのバランスとなっていますが、ミッドベースからサブベースまで均等に鳴らします。
これはこれで好ましいサウンドですが、キレと締まりが弱く低音が膨らみがちですし、他の音域に被りがちになっています。
プリセットの説明文によれば低音のキック感が損なわれないようにしたということですが、ただバランスを強くしただけという印象が拭えず、ANW01のようなクラブサウンドは失われています。
エレクトリック系ではもう少し引き締まった低音が欲しいところですし、逆にバラードの下支えなど、タイトに鳴らす必要のない低音では他の音に被りがちになってしまうため低音がうるさく感じます。

総評

良い点

  • アイドルマスターコラボモデルとしてはとても良い音質
  • コラボモデルという唯一無二の存在感
  • 低音寄りのバランスの良いサウンド
  • ワイヤレス充電対応

悪い点

  • 言ってしまえば聞かせどころのない中庸な音
  • やや尖りのあるボーカル
  • 膨らみがちな低音
  • ベースモデルにプラス7500円という価格差
  • ベースモデルで選択できるイコライザープリセットは選択不可

AOW01はONKYO監修ということでどうなのかと思っていました。蓋を開けてみるとナシではないけれどANW01の良いところを潰してしまったような音質が気になります。
イコライザーの説明文は謎の表現が使われていますし、良く言えばバランスの良い音なんですが、正直なところ聞かせどころのない中庸な音にしかなっていない気がします。
そして何よりも、アイマス曲をメインとして聞くならANW01のほうが聞いていて楽しいサウンドなんですよね……

最大にして唯一の欠点はこのコラボイヤホンの価格が20,000円だということです。
ベースとなったANIMA ANW01はこの1年で値下げがあり約12,000円で購入可能です。AOW01の音質が優れているものだとしても、約7,500円の差を埋められるかというと疑問が残ってしまいます。
アイマスファンにとっては青羽美咲の専用ボイスなどの嬉しい要素が入っているものの、青羽美咲以外のボイスはANW01でも使用可能です。

イヤホンという形に拘らないのならワイヤレスヘッドホンという選択肢もあります。
AOW01と近い価格ならAustrian AudioのHi-X25BTがいいでしょう。ANW01のようなはっきりとしたリファレンス寄りのクラブサウンドが楽しめます。

www.e-earphone.jp

AOW01のレビューを書いていて、改めてベースとなったANW01の良さを再確認しました。
個々の音の輪郭がはっきりとした明瞭度が非常に高いリファレンス系サウンド。複数用意されたイコライザープリセットを切り替えれば刺激の強いEDMやトランスなどのエレクトリック系からアコースティックなサウンドまでしっかりとカバーできてしまうポテンシャルの高さがあります。ANCが無いという欠点はありますが、それを補って余りあるほどの良い音質は非常に魅力的です。
AOW01でオーディオに興味ができたのなら、ぜひ一度はベースとなったANW01を試聴してもらいたいです。MIDNIGHTで聞く99 NightやHotel Moonside、NIGHTで聞くクレイジークレイジー、DAYで聞くPon De BeachやRadio Happyは本当に最高です。
なんならアイマスの現場でお会いした時などに私のANW01とDAPをその場でお貸しします。