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【PR】NICEHCK DB2 レビュー「低価格イヤホンの優等生」【提供品】

おはこんばんちは、あぶさんです。
今回は先日発売されたばかりのNICEHCK DB2をレビューします。NICEHCK様から頂いた提供品によるレビューとなります。タイトルに【PR】【提供品】と付けさせていただいておりますが、普段と変わらないレビューを行いますのでご安心ください。

NICEHCKのケーブル交換式IEM型イヤホンでは最も低い価格帯をカバーしているのがDBシリーズです。DBシリーズはDB1とDB3が過去に発売されており、DB1は2021年10月、DB3に至っては2019年8月の発売です。約2年ごとに新作が発売され、その時点での低価格イヤホンのレベルを超えてくる音質がDBシリーズの魅力です。
既に出ているDB1やDB3は自腹でレビューさせていただいています。当時としては両方とも低価格イヤホンの常識を変えるような優秀な音質を持ったイヤホンでした。2024年現在ではTANGZU、Moondrop、SGOR、KBEAR、TRNなどのブランドによって低価格イヤホンの音質は日進月歩で向上しています。NICEHCKと言えばYouthやNX7 MK4など、その価格帯の常識を変えてくるようなイヤホンを作ることに定評がありますので、DB2の音質も期待できますね。
戦国時代と言っても過言ではない低価格イヤホンの中でDB2はどのような音を聞かせてくれるのか、じっくりとレビューしていきたいと思います。

外観・特徴

まず目を引くのがパッケージに描かれた女の子のイラストです。DB1にもメイドさんのイラストが描かれていましたが、それと比べて格段にレベルアップした絵が使用されています。先着800名限定でこのイラストを使用した缶バッジが配布され、中にはイラストと女の子の名前が印刷された(なんと名前の部分は箔押しです)カードが入っています。カードによると女の子の名前は「Tian Hui」ちゃんだそうです。
インナーイヤーイヤホンのEB2Sなどにもイラストが使用されていましたが、DB2の女の子はイヤホンを手に持っているところが描かれていたり、名前がつけられていたりするためキャラクターとしての個性が出てきていますね。これからNICEHCKの公式キャラクターとなるのかもしれません。

カラーバリエーションは紫、青、黒の3色が用意されています。NICEHCKから提供されたものは紫でした。
フェイスプレートはNICEHCK NX7 MK4とよく似ていて、2pin端子もNX7と同じTFZタイプが採用されているため知らない人が見たら見分けがつかないかもしれません。
似ているのはNX7 MK4と同様にゴールドで塗装された金属製のプレートとレジンを使用したプレートを組み合わせる手法を採用しているためで、それぞれのカラーバリエーションを基調として立体感のある造形を生み出しており、30ドル以下のイヤホンとはとても思えません。上位機種であるはずのDB3のフェイスプレートと比べてもその差は歴然としています。

ドライバー構成は1DD+1BAのハイブリッドです。ダイナミックドライバーにはチタンでコーティングされたグラフェンを振動版に採用しています。BAドライバーの型番などは公開されていません。
グラフェンはダイヤモンドよりも硬い素材と言われており、振動板のコーティングとしていくつもの採用例があります。そのグラフェンに硬いチタンでコーティングすることで振動板としての特性を引き上げているようです。
ダイナミックドライバーとBAドライバーの制御はPCB基盤によって行われており、最近の流行を取り入れつつNICEHCKらしくコストにも配慮された構成となっています。

ケーブルは4芯構成の高純度OFCケーブルです。適度に柔らかくタッチノイズも抑えられています。巻き癖がつかないのも良い点です。低価格イヤホンのケーブルは音質云々以前の問題で巻き癖が取れなかったり装着感を悪化させていることが多いのですが、DB2のケーブルはその点をクリアしている優秀なケーブルです。
イヤーピースは軸の細いグレーのものと、AET07クローンのNICEHCK 07が付属します。白と青はパッと見て同じサイズのように見えますし、AliExpressでNICEHCK 07の商品ページを見ても両方がMサイズと記載されています。実は傘の直径が違いまして、その差は僅か0.2mmです。たった0.2mmですが装着感が大きく変わります。
ケーブルもイヤーピースもそのまま使用して問題ないビルドクオリティです。一昔前は低価格イヤホンのケーブルは交換前提でしたが、DB2はそのまま使用しても問題ないでしょう。

NICEHCK DB2の正規価格は22.99USDです。2024年1月29日時点では3400~3500円ほどで購入可能な低価格イヤホンです。
日本国内のAmazonではレビュー時点でまだ出ておらず、AliExpressかHiFiGOで購入することになります。

※2024年2月19日 追記 国内Amazonでも販売が開始されました。価格は3,950円となります。AliExpressとの価格差はほぼ無いのでどちらで購入しても良いかと思います。

NICEHCK (Amazon):3,950円 https://www.amazon.co.jp/dp/B0CRTRPVBJ

HiFiGo:3,407円
https://hifigo.com/products/nicehck-db2

NICEHCK Official Store (AliExpress):3,456円
https://ja.aliexpress.com/item/1005006458231632.html

NICEHCK Audio Store (AliExpress):3,457円
https://ja.aliexpress.com/item/1005006457118526.html

音質の評価条件について

100時間ほどのエージングもとい慣らし駆動を終わらせた状態の個体を使用し、ケーブルとNICEHCK 07イヤーピースを装着した状態で音質評価を行っています。
再生機器は当ブログでお馴染みのFiiO M11 Plus LTD(以下M11PLに加え、今回からHiby R6 Pro Ⅱ(以下R6P2)とEarFun UA100(以下UA100)を使用します。UA100とスマホの接続にはDDHiFiのTC07Sを使用することでデータ転送時のノイズを最小限に抑えこんでいます。
音質評価の使用する音源は、手持ちのCDから取り込んだFLAC音源と、Spotifyで作成した音質評価用プレイリストです。Spotifyのプレイリストは公開していますので店頭での試聴の際などでも使用できます。

客観的な評価をするように努めていますが、あくまでも私個人の経験を共有するものですので、購入の際には店頭にて実際に試聴されることをおすすめします。

音質

さて本題の音質レビューです。
NICEHCK DB2の音質は低価格イヤホンとしては珍しく聴感覚上でフラットに近く感じるバランスで、高音から低音まで一貫して質の良い音を鳴らします。V字傾向の強いイヤホンに慣れていると中音を近く感じやすく鳴るために強い迫力があるように聞こえるかもしれませんが、耳が慣れてくると良い意味でクセや尖った部分が少ない自然なサウンドであることに気付かされます。
音場がやや狭い傾向があり、左右よりも上下で顕著に感じられ、空間表現はあまり豊かではありません。個々の音が前に出る印象がありますが、過度な主張をしない自然な鳴らし方のため長時間の使用でも聞き疲れすることはなく、じっくりと音楽を楽しむことに向いています。解像度が十分にあるためごちゃついた音になることもなく、グルーヴ感のある音としてまとめているところにチューニング技術の高さを感じさせます。

低価格イヤホンではバランスの良さよりも個性で勝負するものが多く、高音から低音までバランス良く鳴らす製品は少数派です。バランスの良い中庸なサウンドというものは個々の音の質で勝負することになります。かけられるコストが少ない低価格イヤホンでは音の粗が目立ってしまうのですが、DB2は分析的に細かく聞かなければ音の粗に気づかないでしょう。
DB2の音質には価格の枠を超えて上位機種に迫るような質とバランスの良さがあります。バランスの良い音というのは上位機種だけに許されていたものでしたが、ついに30ドル以下でも聞くことができる時代が訪れました。

DB2に欠点がないわけではありませんが、バランスの良さと質の良い音は欠点を補って余るほどで、トータルでは非常にレベルの高いサウンドを実現しています。低価格イヤホンは元気の良い所謂ドンシャリでまとめてくる物が多い中、30ドル以下という価格でバランスの良いサウンドをしっかりと作り込んできている点は称賛に値します。

songwhip.com 皮の張ったスネアの音から始まり、明確な定位を持ったピアノ、弦の弾みを感じられる存在感のあるベース、そしてポール・マッカートニーのダンディなボーカルが見事に組み合わさっています。
ハイ上がりだとピアノが強すぎてボーカルやベースの豊かさを感じられませんし、低音が強すぎてもいけません。ドラム、ピアノ、ベース、ボーカルがしっかりと調和して全てが聞き取れる必要があります。
DB2の「全体が持つ一体感と解像度の高さ」がよくわかります。音楽として破綻することなくそれぞれのパートをしっかりと聞き取ることができ、どこに焦点を合わせても十分に質の良い音を鳴らします。

songwhip.com ライブ音源は実際に現地で聞いているかのような広大な音場に広がる多数の音が魅力です。
DB2の音場は上下方向がやや狭いため、ライブ音源ならではの音の広がりを感じにくいと思いました。

高音

DB2の高音は不快な刺激を出さないように過度な主張を抑えていますが、控えめすぎず中音や低音との良好なバランスとるようにチューニングされています。
低価格イヤホンでは高音域の周波数特性を考慮するに留まり、質感まで配慮された高音を鳴らすものは少ない印象があります。特に高音を補完する目的でBAドライバーを採用した機種では、周波数帯域バランスやクロスオーバー制御でコストを使い切ってしまい、細かいところまでチューニングが行き届かないために音楽を破綻させるものが少なくありません。DB2は4kHzと6kHz付近を控えめにチューニングしているため自然で滑らかな高音を鳴らします。
ほとんどの場合でDB2の高音は優れていますが、8~9kHzあたりの高音は苦手としているようです。NICEHCKが公式に出している周波数特性グラフでも8kHz付近に山があります。
特に苦手としているのは立ち上がりが鋭い金属系の音です。必要以上に強く響きすぎてしまうため、音の質感が全て吹っ飛んでしまい不快な音を出します。キーンと響く高音が入っている楽曲は要注意です。ただし、6kHz以上の高音は外耳道内での共鳴の影響が強いため、個人差やイヤーピースの選択によっては特に気にならないかもしれません。

songwhip.com 800~1300Hzを基音として、倍音が6kHz付近まで入っています。
DB2は4kHzと6kHzをうまく抑えているため金属的な質感が破綻せず、中音や低音とのバランスも良好です。

songwhip.com 11秒付近で約8kHzとなる金属打楽器の鋭い高音が入っています。キーンと響きながら滑らかに減衰しなければならない音ですが、DB2では8~9kHz付近が過剰に響いてしまうため不快な刺激を感じるかもしれません。
特にローエンドからミドルレンジ帯のESS製DACチップにおいて顕著に感じられます。

中音

他の低価格イヤホンと最も違いが出るのが中音でしょう。低価格イヤホンで最も難しい部分が中音であり、1,2年前までは強い個性を持たせることで中音の粗を隠すチューニングが当たり前でした。
DB2の中音は総じて質が高く、目立った粗の無い自然な音を鳴らします。凹むことは無く適度な距離感を保っており、少し湿っぽさのある僅かに暖色らしさのある中音です。より上位の価格帯のようなクリアさはあまり感じられませんが、ボーカルとの分離も良く、高音や低音で顕著だった音場の狭さも中音ではあまり感じません。低価格イヤホンでこのレベルの中音が聞くことができるのは本当に驚きです。

songwhip.com 40秒あたりからトロンボーンの低い中音が入り、そこからテナーとアルトサックス、そしてトランペットで繋げていくところ。中音が凹んでいる強いドンシャリではドラムに負けてしまう、中音を前に出したとしても音の質が良くなければ細かい表現を鳴らせないためノッペリとした音に聞こえてしまいます。
分析的に聴き込んでいけば価格なりの妥協点はあるものの、30ドル以下で聞くことができる中音としてはトップクラスと言って良いでしょう。

ボーカル

ボーカルは中音同様に凹むことなく前に出ます。基本的に定位は中央にありますが、複数のボーカルが同時に歌う楽曲で少しずつ定位をずらしているような音源でも正確に定位を把握できます。
女性ボーカルは不快な刺激が出ないように上手く伸ばしています。最近は低価格イヤホンでも当たり前となってきた6kHz付近を抑えることでサ行の刺さりを防ぐこともできています。
男性ボーカルはしっかりと地に足の着いた低音が響き、染み入るように広がります。個人的な好みだとDB2は男性ボーカルのほうが相性が良いと思いました。

songwhip.com いつもは愛は静かな場所へ降りてくるを使用するのですが、今回は同じユニットから遠い音楽を使用しました。
女性ボーカルと聞く低価格イヤホンを選ぶとしたらTANGZU wan'er S.Gは外せないでしょう。その価格からは想像できないほどに艶がありながら上位機種に迫るほどに滑らかで掠れなどほぼ感じさせない女性ボーカルはとても魅力的でした。
DB2の女性ボーカルはTANGZUには劣りますが、遠い音楽のように男性ボーカルとミックスされた楽曲ではDB2が有利です。コストを考えれば女性・男性のどちらかに特化させたほうが都合が良いのですが、NICEHCKのエンジニアは両立させるという挑戦を無事に成功させました。

songwhip.com 女性ボーカルに負けず劣らず、しっとりとした艶のある滑らかな低音を鳴らします。
特に2分45秒付近からのエンドに向けての声の出方は見事です。

低音

ミッドベースは程よい量感を持って前に出てくる印象で、キックに確かなキレがあり、引き締まっていて膨らみすぎないバランスの良い低音を聞くことができます。
サブベースは60Hz付近から周波数が下がるに連れて徐々に減衰していきますが、30Hz台までは十分に聞き取ることができます。
サブベースは低音の深い沈み込みを表現する重要な部分です。DB2の低音はサブベースまでしっかりとチューニングがされており、深く沈み込むような低音や、下に響きながら広がっていく低音を楽しむことができます。
上流の再生機器によっては30Hz付近が60~40hz付近と比べて減衰が大きくなったり、低音全体が中音と比べて控えめになる傾向があります。
R6P2との組み合わせが最もバランスの良い低音を聞くことができ、35Hz付近の低音まで確かな量感があります。M11PLでは40Hz付近から弱くなります。30Hz付近の低音は聞き取ることができるレベルに留まり、中音が多く入っている場面では聞き取れないことがあります。UA100は低音全体が控えめながら60~30Hz付近までバランス良く鳴らします。

songwhip.com 私のSpotify年間再生回数ランキングで3年連続1位に君臨し続けているサブベース確認用楽曲です。
ミッドベースとサブベースのバランスが良好であればキックから深く沈み込むように低音が広がっていきます。

songwhip.com 出だしのボーカルの直後にミッドベースに合わせて広がっていくサブベースが入っています。
80Hz付近でキックが入り、50~60Hz付近のサブベースが広がります。低音の性能が低い環境では軽い音になってしまったりバランスの悪い音になってしまいます。
DB2は80Hz付近のキックがとても良好です。ボーカルに負けないしっかりとしたキックを鳴らせます。キックから繋がるサブベースも滑らかで自然に広がります。低価格イヤホンの中ではレベルの高い低音が出ています。

songwhip.com 14秒付近から40Hz、46Hz、70Hz、64Hz、70Hzの順に入るベースラインが繰り返されます。前半の40->46と後半の70->64->70を同じレベルで鳴らすことができるイヤホンはそれほど多くありません。
R6P2とDB2の組み合わせでは全てのベースラインが一貫したレベルを保っています。M11PLは後半がやや膨らみがちで、UA100は全体的に控えめです。この機器ごとの傾向はTHIEAUDIO Hype2などのステージモニター系イヤホンでも同様に感じられましたので、DB2の低音は価格の枠を超えて非常に優れた音質を持っていると言えます。

再生機器との相性

DB2はインピーダンスが低く感度が高いため要求されるアンプ性能が低く、スマホに直刺しでも問題なく十分な音量を得られます。DAPでも大きな音量設定は必要ありません。私が趣味の音楽鑑賞で聞くレベルに設定したところ、M11PLのローゲインで音量65、R6P2のローゲインで音量36でした。UA100はローゲインでDAC側の音量設定を62とし、スマホ側は60~70%ほどの音量を得ることができました。
再生機器側の音質との相性によって音の距離感が変わることで印象が大きく変わります。最も音が近いと感じたのはUA100で、標準的な距離感に近いと感じたのはR6P2でした。M11PLはややUA100寄りの聞こえ方でFiiOらしい押し出しの強い音を楽しめます。柔のHiby、剛のFiiOといった印象でしょうか。
私個人の好みで選ぶならDB2はR6P2と組み合わせたいイヤホンです。程よい音場に優しく質の良い音が広がり、じっくりと音楽の世界に浸ることができます。高音は優しく滑らかに、中音は癖がなく少し湿った自然なサウンドに、低音はミッドベースからサブベースまでバランス良くちょうど良い大きさを保ちます。
M11PLとDB2の組み合わせは音楽を積極的に聞きたい時に選びたいですね。低音のバランスが少し気になりますがイヤーピースの交換やリケーブルで解消できます。今ならM11Sという選択もあります。
UA100で聞くのも良いでしょう。UA100とTC07Sを合わせても1万5000円くらいの価格です。DB2を足しても2万円に届きません。M11PLは新品で10万円、R6P2は12万円です。1~2割程度の金額で十分に楽しむことができ、初心者におすすめな組み合わせです。

おすすめイヤーピース

DB2のイヤーピース交換を考えてみましょう。
特に改善したいのは一部の高音が強すぎることによる不快感です。高音を減衰させることで相対的に低音を少し強くする効果も期待できます。

Moondrop 清泉

ドライバーと鼓膜の距離を変えることで外耳道内での共鳴を抑える効果のあるイヤーピースです。
8~9kHz付近で高音が響きすぎる欠点を抑えることができ、全体的にさらにバランスの良い方向へと変化します。遮音性が向上することで低音の量感が増し、より深い低音を楽しむことができます。
DB2のノズルはそれほど長くないため、耳介の形によってはシェルが耳に当たって装着感を悪化させるかもしれません。装着感に問題なければDB2との同時購入をおすすめしたいイヤーピースです。リケーブルを考える前に清泉を試してみましょう。

FEYCH フォームタイプイヤーピース

フォームタイプのイヤーピースには高音を減衰させる効果があります。
FEYCHのイヤーピースは非常に柔らかく圧迫感が少なめで装着感が良好です。

TRN Tips

高音を減衰させる効果はやや弱いのですが、低音の抜けを防ぐことで高音の刺激感を感じにくくなります。
装着感は良好ですが、ベタつくタイプのためお手入れに手間がかかります。

おすすめケーブル

DB2のリケーブルを考えてみましょう。
ケーブルはイヤーピースよりも高価なためリケーブルを行う前にイヤーピース交換を試しましょう。イヤーピースだけで満足できるならそれに越したことはありません。
様々なケーブルを試しましたが、過度に高音を強くするタイプのケーブルは非推奨です。DB2が苦手としている8~9kHz付近の高音が強く出すぎてしまい、音のバランスを壊してしまいます。 イヤホン側の端子はカバー付きのTFZ 2pinが採用されています。カバーの大きいqdcタイプは使用できません。中華2pinやCIEM 2pinを使用することもできますが、カバーによる保持ができないため接触不良や脱落、ピンの破損に注意が必要です。

NICEHCK MeetAlice

4芯構成の高純度銀メッキ線です。とりあえず試してみるというタイプのケーブルで、とびきりの良さはないものの安定した質の良さがあります。
DB2との組み合わせでは全域で質感の向上と濃い音への変化を得られます。
銀メッキ線ですが高音は過度に主張せず、8kHz付近が適度に整えられるため心地よい音へと変化します。
この音でTFZタイプの2pinがラインナップされていれば最高だったのですが、残念ながらCIEM 2pinとMMCXのみのラインナップです(NICEHCKさん、CIEM 2pinをTFZへ変換するカバーみたいなものを作ってください!)

NICEHCK LitzPS

4芯構成の4N純銀線です。
全体的に音が明るい方向へと変化します。清泉との組み合わせでは8kHz付近は更に質感を増した印象があり、より心地よく響く高音へと変化します。中低音の厚みは小さい変化にとどまりますが、サブベースの減衰は大幅に改善されます。
音の厚みについては付属ケーブルと同等で、明るい音が好きなら良い選択肢としておすすめできます。MeetAliceのような濃い音を加えたいなら8芯構成のLitzPS Proが選択肢に入るかと思います。

BIGMANGO Melody

単結晶銅と無酸素銅という違う素材の銅線をミックスした4芯構成のケーブルです。
中低音の厚みが増し、MeetAliceよりも更に濃い音を楽しめるようになり、音の余韻が優しく包み込むように響きます。60Hz以下の低音がさらに深くなり、EDMの重低音も鳴らせるようになります。
分離感についてはMeetAliceやLitzPSに軍配が上がりますが、音楽全体のグルーヴ感を重視するならMelodyがおすすめです。
MeetAliceと同様にTFZ 2pinはラインナップされておらず、中華2pinタイプを使用することになります。CIEMタイプよりも破損する可能性は低そうですが注意は必要です。

KBEAR KBX4913

KBEARブランドから出ている純度4Nの8芯純銀ケーブルです。
純銀線らしく高音から低音まで自然に音の質と厚みを増すタイプのケーブルで、バランスに優れたDB2との相性はとても良好です。
LitzPSよりも音の厚みを増しながら、Melodyよりはバランス重視にしたい場合におすすめできます。

総評「低価格イヤホンの優等生」

良い点

  • 過度に主張しないフラットに近いバランス
  • 十分な厚みのある質の良い音
  • 控えめながら滑らかで適度な存在感を持つ高音
  • 癖がなく自然で目立った粗のない中音
  • 深みのある男性ボーカル
  • 滑らかでキレの良い低音
  • ミッドベースからサブベースまで一貫したバランス
  • 30ドル以下という低価格でありながら良いビルドクオリティ

良くない点

  • 上下がやや狭い音場
  • 8~9kHzの高音が過剰に響きやすい
  • 女性ボーカルは価格相応
  • 低音が中音に被るような定位

DB2を一言で表現するなら「低価格イヤホンの優等生」でしょう。
解像度はSGOR VENUS、女性ボーカルの表現力ならTANGZU wan'er S.G、優れた空間表現ならSGOR ADONISなど、際立った個性で特定の領域ならDB2を超える同価格帯のイヤホンはいくらでもあります。しかし、DB2ほどに優れたバランスと個々の音の質感を両立している低価格イヤホンはほぼありません。
いくつかの欠点はありますが、イヤーピースの交換だけで解消することができます。付属ケーブルはそのままでも使えますので、リケーブルについては余裕がある時に趣味で変化を楽しむくらいで置いておきましょう。中華ブランドの低価格イヤホンはリケーブルを前提とした部分もあるためマニア向けだったのですが、30ドル以下でリケーブルをせずとも良い音質を持っているDB3は初心者にもおすすめしやすく、低価格イヤホンマニアからすれば一度は聞いておきたい製品でしょう。

これを読まれている方が初心者なら、DB2を買ってしまえば後の心配は不要です。DB2は低価格ながら2年3年と長く付き合えるイヤホンです。ポータブルオーディオはお金がかかりやすい趣味ですので、財布の紐は常に引き締めておきましょう。
マニアの方でしたら一度聞いておくことをおすすめします。箱出しのまま楽しむのもいいですし、余裕があるのならイヤーピースを交換したりリケーブルで好みの組み合わせを探す遊びもできます。良い組み合わせを見つけたらSNSでシェアしましょう。