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OpenHeart レジンシェルイヤホン レビュー「A2とほぼ同じ構成ながら装着感を大幅UP」

おはこんばんちは。今回はOpenHeartという中華ブランドから販売されているレジン製イヤホンをレビューします。

今回レビューするイヤホンはOpenHeartというブランドから販売されているレジンシェルイヤホンになります。
実はこれ、過去に販売されていたA2というレジンシェルイヤホンと中身はほぼ同じだと思われます。

A2というイヤホンについて

A2というイヤホンはメーカーやブランドが全く不明な状態で販売されていたイヤホンでして、一部のレビューでも指摘されていましたがカスタムIEMのデータを流用して作成されたのではないかと言われていました。
A2はレジンシェルイヤホンとしてほぼ最安の2000円台で販売され、音質もなかなか良いものではあったようです。
しかし、カスタムIEMのデータをそのまま使っているためかステム周りが非常に特殊な形状をしており、装着感に難があったため総合的な評価は微妙といったところでした。
今回紹介するOpenHeartのレジンシェルイヤホンはA2と同じ特徴を持ちながら、形状を少しユニバーサルモデル寄りに変更したものだと思われます。

外観・特徴

イヤホンは丸いケースに付属品とともに収められ、さらに箱に入った状態で届きます。
このケースはファスナー部分に癖があるため非常に開きにくくなっています。ケースが不要であれば廃棄前提で壊してしまったほうが良いかもしれません。
付属品は安物のイヤーピースと小さいクロスです。説明書は入っておらず、箱にもブランド名以外の記載は全くありません。詳細スペックはおろか、商品名すら不明です。

ロゴや装飾が無いことによる派手さこそ無いもののフルレジンのシェルは非常に綺麗です。
A2は透明だったそうですが、OpenHeart版はブルー or パープルが選択可能です。

このイヤホンはケーブルなしで購入可能ですが、今回はケーブルありのものを購入しました。
ケーブルは4芯銀メッキ + 4芯銅線の8芯構成で、ブラウンとブラックのカラーリングで落ち着いた印象を受けます。
イヤホンのスペックは10mmダイナミック1基、インピーダンス32Ω、感度108db、周波数帯域18hz~22kHz、mmcxでのリケーブルに対応と至って普通の1DDイヤホンです。
インピーダンスが高めのためやや鳴らしにくさを感じますが、最近は鳴らしやすいイヤホンをいっぱい聞いてしまった影響かもしれません。

イヤーピースはシリコン製とフォームタイプがそれぞれ3サイズ、ダブルフランジのものが1サイズ付属します。
それほど良いものではなさそうなのでJVCスパイラルドットやKBEAR 07などに交換してしまいましょう。
本体がやや大きめのサイズ感であることとステムが長めということもあり、普段より1サイズ小さいイヤーピースを使用すると圧迫感を大きく改善できるのでおすすめです。持っているのであればTWS用などの軸が短いタイプもいいですね。
試した中ではMoondropの精泉との相性が良いと感じました。

OpenHeartレジンシェルイヤホンはAliExpressのOpenHeart公式ストアで購入可能です。
ケーブル無しでは2000円台後半、ケーブルありなら4000円台前半です。ケーブル無しの場合はMMCX端子のケーブルを何かしら用意する必要があります。
ja.aliexpress.com

音質

音質は中低音寄りの自然なバランスを持ちます。言ってしまえばレジンシェルイヤホンにありがちな音とも言えます。
レジンシェルを採用したイヤホンはレジンによってドライバーが入った銅合金製ユニットが閉じ込められています。NICEHCK DB1やKBEAR KS2のようなある程度の容積を持った空間にドライバーを配置しているわけではなく、ほぼ密閉されているような構造が特徴です。
OpenHeartも同様の構造のため、密閉されているなーと感じる音が出ます。僅かに空気抜きの穴が設けられているためか極端に抜けが悪いとかそういうわけではありません。良い意味で中低域に濃さがある分厚い音です。好みの問題でもありますが、人によってはもう少し抜けの良い音の方が好ましいと感じるかもしれません。
音の分離感は思いっきり良いというわけではないのですが、1DDのイヤホンとして、そしてお値段を考慮するとかなり良い方だと思います。音場も自然な印象で、1DDならではの統一された自然な音を楽しめます。

高音

低価格1DDイヤホンということもあり高音用のBAを使用したイヤホンと比べるとバランス的にやや弱いと感じますが、高音の質はかなり高いほうだと感じました。
また、レジンによってほぼ密閉されているということもあり、響きも少し減衰しすぎだなという印象です。
響きすぎたり不自然な揺れは無いため不快になることはありませんが、私としてはもう少し高音のバランスが強いほうが好みですね。
この辺はミックス線ということもあるかと思います。リケーブルでの変化が楽しみですね。

中音

1DDならではの自然で癖のない中音はOpenHeartレジンシェルイヤホンでもしっかりと感じられます。
最近は中音が変に凹んだり質感がおかしくなっているイヤホンはほぼ見かけなくなってきていますが、この価格帯でここまで自然で滑らかなな中音が出せるというのは中華格安イヤホンの驚異を感じます。
細かいことを言ってしまえば少し距離感が遠目だと感じます。もう少し前に出てきて輪郭がはっきりとしていれば文句なしなのですが、この価格のイヤホンでそこまで求めるのはしちゃいけないことでしょうね。

ボーカル

ボーカルは凹むことは無く、音場や定位がしっかりとあるため聞きやすい印象です。
ただ、楽曲によっては粗を感じやすい部分でもあります。

songwhip.com 高音域への伸びの良い女性ボーカルで特に顕著なのですが、やや尖りがあり伸びも物足りなく感じます。

songwhip.com 男性ボーカルの印象はかなり良いです。ややウォーム寄りの傾向と合わさって非常に好印象です。

低音

OpenHeartレジンシェルイヤホンの中で最も特徴的なので低音でしょう。
全体的な音のバランスとしても低音がやや強めにされ、そこにレジンシェルによる非常に低い減衰によってしっかりとした締りとキレを楽しむことができます。
1DDというドライバー構成と、レジンによってほぼ密閉されていることで低音の抜けが抑えられているという構造的な特徴がもっとも現れている部分でしょう。
ドライバーのチューニングも適切で、ミッドベースからサブベースまで安定して鳴らしてくれます。

songwhip.com ミッドベースからサブベースまで深く沈み込むような低音もしっかりと鳴らしてくれます。

リケーブル

OpenHeartレジンシェルイヤホンはMMCX端子によるリケーブルに対応しています。
MMCXの採用は2pinイヤホンが主流となる格安中華イヤホンにしては珍しいですね。普段は2pinのケーブルをメインで購入しているためMMCXはほとんど持っていないのですが、4種類ほど試してみました。

NICEHCK TDY4(8芯銀メッキ線)

銀メッキ線らしいスッキリとした解像度高めの印象です。
以外だったのは低音が少し強めに出ることでしょうか。ちょっと全体のバランスを崩しがちです。

NICEHCK PurpleSE(8芯古川銅)

古川銅という材質の印象とは違い、中高域をガッツリ抑制しながら低域をブーストするような変化があるケーブルです。
OpenHeartレジンシェルイヤホンでもその傾向があり、低音はそのままで中高域がやや削られるような印象です。
女性ボーカルの尖りが少し控えめになるため全体的に聞きやすい方向へと変化しますが、全体的に少し曇ったような音へ変化してしまうという副作用があります。
全体的にはありっちゃありかなくらいの印象なので、ケーブルの価格を考えるとあまりおすすめはできないですね。
PuepleSEを選ぶのであればイヤホン側の色は紫を選択したほうが統一感が出て良いと思います。

NICEHCK SuperCyan(7N OCC + OCC銀合金のリッツ線8芯)

セール時に慌てて2pinを購入したら注文時に間違えてしまったのかMMCXが届いてしまったもの。
7N OCC + OCC銀合金のリッツ線8芯構成というコストのかかったケーブルです。本当はYouthで試したかった……。
全体的に解像度高めのスッキリとした印象を受けるのはTDY4と変わらないのですが、特定の帯域が強化されるということは無く、自然に全体の質感のみを向上させるような方向性の変化でした。
中音やボーカル付近の厚みと分離感がかなり向上するため個人的にはアリなのですが、純正ケーブルでも別にいいんじゃないかと思ってしまう自分もいます。
かなり好印象なのですが、このケーブルの色がイヤホン側の色とあまり合わないのが悩みどころですね。

NICEHCK FourMiX(銀銅合金 + 7NOCC + 純銀 + 6N銀メッキOCC)

4つの素材を組み合わせたNICEHCKの(中での)ハイエンドケーブルです。正直なところ本体だけで2000円後半のイヤホンに組み合わせるものではないとは思います。
やはりコストのかかったケーブルだけあってめちゃくちゃ良い音になりました。低音が僅かに減る傾向がありますが、中音から高音にかけての質感の向上は非常に好印象です。
音の印象そのものを大きく変えてしまいますが、それを含めてめっちゃ良い印象でした。メインの変化はSUperCyanと同じく全体の質感を持ち上げるタイプなのですが、それによって引き出されたドライバーの性能がかなり良い音を出してくれます。
2000円台後半に1万円オーバーのケーブルという組み合わせ、人によってはナシだと思いますが出てくる音はめっちゃアリです。

総評

良い点

  • やや中低域寄りの聞きやすい自然なサウンド
  • 深みのある低音
  • 素直にかっこいいと思えるデザイン

悪い点

  • 装着感はA2から大幅UPしたとは言えどやや悪い
  • 色んな意味で怪しい

OpenHeartレジンシェルイヤホンは製品名がわからないとか過去にあったイヤホンに中身がそっくりだとか正直なところどんなやばいものが来るのかと思っていたのですが、音もビルドクオリティもかなりしっかりとしていて驚きました。
OpenHeartに関する日本語の情報が非常に少ないこともあってどうみても怪しくてイロモノなのですが、そんな製品から想像以上の音が出てくるので中華イヤホンはやめられないんですよ。

注意すべき点は装着感の悪さでしょう。イヤーピースはちゃんと選んだほうがいいです。
リケーブルするなら高音を引き上げるよりも全体の質感と中音を重視したほうが良い結果を得られるでしょう。