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NICEHCK Youth レビュー「高音の刺激感と分離の良さが心地よい、NICEHCKの傑作」

おはこんばんちは。今回はNICEHCKのYouthというイヤホンをレビューします。

NICEHCK Youthは中国のHCK Earphonesが展開するオリジナルブランド「NICEHCK」の最新モデルとして2022年5月に発売されたイヤホンです。
発売前にはTwitterのNICEHCK公式アカウントから頻繁に宣伝され、日本のマニア向けにチューニングしたという触れ込みで話題になりました。
発売時の価格は日本円で1万円を切っていましたが、現在は円安などの影響によってAmazonにて10500円で販売されています。AliExpressは12000円ほどなので素直にAmazonで購入したほうがいいでしょう。

外観・仕様

Youthはアルミ合金製のメタルシェルを鮮やかなグリーンで仕上げています。ビルドクオリティは非常に高い印象で、見た目に粗は感じません。

ドライバーはベリリウムコートの8.8mmダイナミックドライバーを1基という構成。マルチBAが多い中華イヤホンとしては珍しい1DD機です。
ケーブルは4芯の単結晶銅に銀メッキを施したもので、端子や被覆のカラーリングが本体と合わせられていて統一感のあるデザインです。

イヤーピースは汎用のグレーのものの他に、KBEAR 07と思われるものが付属しています。
本体自体がやや小ぶりなサイズ感で装着感に定評のあるKBEAR 07ですので耳にしっかりフィットしてくれます。

音質

Youthの音質は中高音寄りのバランスを持った寒色系弱ドンシャリタイプで、特に高音から超高音にかけて金属的な響きと程よい刺激があります。
ドンシャリと言っても個々の音の質感は高いためシャリつくことはほとんどありません。ベリリウムコートドライバーの性能による高い解像度だけでなく、抜けの良いスッキリとした鳴らし方も良い影響を与えています。
全体的に軽快で明瞭度の高いはっきりとした鳴らし方ですのでテンポ良く音楽を楽しむことができます。個々の音のレスポンスが高いためスピード感を求めるような楽曲でも難なく鳴らしてくれます。

高音

高音はYouthの中で最も特徴的なサウンドです。全体的に金属的な質感と響きを持ち、硬質で明瞭な高音を煌めくように鳴らします。
日本語名の青春のようにスッキリとしていて爽快感があり、十二分に楽しませる刺激感をもたらしてくれます。
刺激感を残しながらシャリつくことはなく不快な刺さりもしっかりと抑えられています。高音好きのための高音とはこのことかと思えるサウンドです。
最近の中華イヤホンはいわゆるハーマンターゲットカーブを意識した製品が増えてきたためか高音から超高音にかけてやや落とし気味な音が多いのですが、Youthはその帯域の刺激感をしっかりと出してくるタイプです。それでいて過度にシャリつくことはなく、硬質でしっかりとした輪郭を持っています。

songwhip.com 序盤に入っているシンバルの音。分離感が良くなければ一つ一つの音を聞き分けられず、シャリつくと響きが損なわれ、高音の刺激が足りないと奥に引っ込んでしまう部分です。
Youthはしっかりと耳に届きながら一つ一つの音を完全に聞き分けることができ、叩いた瞬間から響きの余韻までしっかりと鳴らし切ります。

songwhip.com 鉄琴の音をしっかりとした輪郭を持って聞くことができます。それでいて不快感は抑えられ、揺れるような音であっても滑らかに繋がります。

中音

中音はやや凹むバランスですが癖のない音を鳴らします。高音で特徴的だった金属的な質感は中音では全く感じられず、中音は中音としてしっかりとチューニングされています。
自然な音とは言っても凹みがちということもあって実在感は乏しい印象ですが、Youthは弱ドンシャリでノリ良く楽しむサウンドだと思えばこれはこれでありかなと思います。

ボーカル

ボーカルは中音と同じく少し遠い印象ですが、奥に引っ込みすぎて迷子になることはなく分離感はかなり良いと思います。
中音と同じく金属的な質感が乗ってくることもなく、男性・女性ボーカル共に自然に楽しむことができます。

songwhip.com かなり高音側へ変調されたボーカルが特徴的な一曲。
このようなボーカルでも上ずることがありません。

songwhip.com 非常に良く伸びるボーカルが特徴で刺さりや尖りが気になることが多いのですが、Youthは伸びを維持しながら不快にならないように上手く鳴らします。
さすがに完璧とは言えないのですが、価格を考えれば十分に素晴らしいクオリティです。

低音

十分にタイトで引き締まった低音を鳴らしますが、他の音域と比べるとやや弱いバランスで量感が物足りなく感じます。
ミッドベースからサブベースまでのバランスは均等ですが、サブベース域へ深く響くような音が弱いためミッドベースだけが膨らむような印象を受けることがあります。

songwhip.com 出だしにサブベース域へ広がる低音が入っているのですがYouthでは聞き取れません。

songwhip.com ミッドベースをキックとしてサブベースへ深く響くような音が入っていますが、サブベースの響きが足りないためキックだけが強調されているような印象です。

songwhip.com パイプオルガンの非常に広いレンジを楽しめる楽曲ですが、Youthでは低音の量感が足りないため全体的に軽く聞こえます。

リケーブル

Youthのリケーブルには同ブランドのFourMixをおすすめします。

ケーブル単体で1万円を超える製品ですが、荒々しさを感じた中高音の強い刺激感が程よく滑らかに整えられ、ベリリウムコートならではの解像度の高さをさらに引き上げるかのような変化がありました。
いわゆるワンランク上の上質な音と言いましょうか。刺激感自体は僅かに落ちてしまいますが、全体の印象は非常に素晴らしく、Youth本来の性能をしっかりと発揮できる組み合わせでしょう。
私が持っているFourMixは初期verのものですが、現行で販売されているものにはYouthと合わせやすい緑のカラーリングが用意されています。

総評

良い点

  • 統一感のあるかっこいいデザイン
  • しっかりとした刺激のある高音
  • 1DDならではの統一感
  • ベリリウムコートならではの高い解像度

悪い点

  • 人によっては派手すぎると感じる高音
  • やや量感の足りない低音
  • 接着が弱いためノズルが外れる(DIYで修理可能)

Youthのサウンドは流行とは違った方向性ではありますが、その完成度は非常に高いと感じました。
特にしっかりとした刺激がある高音から超高音は「そうそうこういうのもいいんだよな」と思わせてきます。個人的には非常に好ましいサウンドですが、人によっては強すぎる・刺さりすぎる・派手すぎると感じるかもしれません。
セール時なら1万円以下ということでお求めやすさもあり、高音が好きであればとりあえず買ってしまってもいいくらいの出来だと思います。

高い解像度と中高音寄りのバランスを持っているため、FPSなどのゲームでも十分使えます。今はSGOR VENUSにその座を譲ってはいますが、Call of DutyやHallo InfiniteなどのFPSをYouthでプレイしていました。

細かい注意点としてはノズルと筐体の接続に使用されている接着剤が剥がれやすく、私の手元にあるYouthは4ヶ月ほどで剥がれました。

もし同様の症状が起きた場合は金属用の接着剤を使用することで修理できます。