ABUSAN’S JOURNEY

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NICEHCK DB3 レビュー「厚みのあるボーカルときらりと光る高音が特徴的な1BA+2DD低価格イヤホン」

今回はNICEHCK DB3をレビューしていきたいと思います。
今まで低価格帯の中国製イヤホンにはあまり手を出していなかったのですが、Amazonブラックフライデーセールに含まれていたためいくつか購入したうちの1つがこのDB3になります。

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NICEHCKは中国のイヤホンメーカーが出している低価格イヤホンのブランドです。低価格と言っても上位モデルには約3万円のものもあり、その品質もオーディオファンから一定の支持を得ています。
DB3はAmazonで3000円前後で販売されている低価格なイヤホンですが、ドライバー構成はBAドライバー1基にダイナミックドライバーを2基組み合わせるというコストがかかっているものとなっています。似たような価格帯では1BA + 1DDの2基構成が多いため、1基多いDB3にどれだけのアドバンテージがあるのかも気になるところです。

本体

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透けて見えるブルーの筐体に亜鉛合金のフェイスプレートが組み合わされています。ビルドクオリティに雑なところは特に見当たりません。内部構造が見えるイヤホンは中のビルドクオリティまで配慮しないと粗が目立ちますが、DB3はそのような心配はしなくて良さそうです。ブルーのスケルトン筐体を採用していた2万円の某クラファンTWSよりも良いクオリティです。
かなり反射が強いメッキ塗装が施されていますがブルーだけのようでして、もう一つのカラーのブラックは落ち着いた塗装が施されているようです。フェイスプレートだけでなくステム部分も金属製となっています。鮮やかなブルーと組み合わさって明るい印象を受けます。
セール時は3000円以下で販売されることが多いイヤホンですが3000円とは思えない質感の高さを感じました。知らない人に見せたら3000円とは思わないのではないかなと思います。

ケーブル

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ケーブルには錫メッキが施された銅ケーブルを4芯で編み上げたものが付属しています。0.78mm 2pinによるリケーブルに対応しています。ケーブルの編み方はとても丁寧な印象で粗があまり見当たりません。
2pinの端子部分には少しカバーがある構造をしていますが、端子の保護というよりはイヤホン本体との接続性の確保のためでしょう。イヤホン本体側にも端子に突起がありカバーと組み合わさって保持力を高めるようになっています。

付属品

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付属品のシンプルで汎用品と思われるグレーのイヤーピースと写真のような布製のポーチのみとなっています。このポーチはケーブルタイにくっつきにくい素材となっているため利便性が高そうです。

音質

いつも通りFiiO M11 Plus LTDを使用しました。また、短時間ですがXperia 10 III Liteでも使用しています。

良い点

  • 個々の音に明瞭感があり、すっきりとした鳴り方
  • 適度に広がりのある音場
  • クリアな鳴り方で中低音に埋もれていない高音
  • ボーカルに厚みのある心地よい中音
  • 量感があり沈み込む響き方を楽しめる低音

悪い点

  • 低音のサブベース域が弱くキレは少し物足りない
  • 純正ケーブルの取り回しが悪い
  • イヤーピースのフィット感は良くないため交換推奨
    • Acoustune AET07を使用しています

箱出しでは十分に音量が取れずボーカル域が強く感じましたが、時間が経つとスペック通りに音量が取りやすくなり全体の音質も大きく変化しました。
DB3は3000円前後の低価格イヤホン、しかも知らない人からしたらまったく聞いたことがないNICEHCKというブランド名からは想像できない、広がりのあるサウンドと厚みのあるボーカルを楽しめます。バランスとしては中低音寄りですが、解像度はそこそこながら各音域が他の音域を邪魔することなく統制が取れています。
複数のドライバーを積んだイヤホンは、それぞれのドライバーが出す音域が重なるクロスオーバーのチューニングが音質に強く影響します。私が1DD構成のイヤホンにこだわったのも1基のドライバーから単一の音を出すという統制の取れたサウンドのほうが良いという判断からですが、DB3の音質は高音から低音まで違和感なく繋げられていて非常に好ましいと感じました。

高音は強く主張するということはありませんが、明瞭感があり個々の音のクリア感も高く感じました。あくまでも中低音寄りのバランスではありますが、高音が埋もれてしまっているということはありません。高音主体のイヤホンと比べると物足りなさはありますが、DB3は隠すことなくしっかりと聞かせてきます。

中音域はボーカルを主体として十分な広がりと厚みがあり、硬質な高音と比べると暖かさのある柔らかい印象を受けます。刺さりは適度に抑えながらボーカルの伸びが良く、息遣いや余韻もしっかりと再現されています。このボーカルだけでも3000円前後とは思えません。

低音はエージングをしっかりしていない状態だとやや弱く感じますが、エージングを行っていくとしっかりとした量感がある沈み込むような低音を楽しめます。響きも良く中音域と合わさって深みのあるサウンドを実現しています。サブベース域が弱いこととキレの弱さがあるためEDMなどを聞くと物足りなく感じますが、下支えが低音のメインとなる楽曲では非常に心地よいサウンドを楽しむことができます。

DB3でいくつかの楽曲を聞きましたが最も驚いたのは如月千早が歌う細氷のハイレゾバージョンです。

www.e-onkyo.com

厚みのあるオーケストラの演奏と2オクターブという音域を持つボーカルが特徴的な壮大なバラード曲ですが、イヤホンの性能が非常に出やすいと個人的に思っています。
DB3で聞く細氷は前奏から広がりと響きが非常に良く再現され、しっかりとした低音により深みがありながら高音が埋もれていません。そしてボーカル域はオーケストラに埋もれることはなく、全ての感情を解放するかのようなサビまでしっかりと鳴らしてくれます。

リケーブル

純正ケーブルは端子回りの形状が耳に合わず装着感が良くなかったため同じNICEHCKのTDY4へリケーブルしました。

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銀メッキが施されたOFC純銅線を8芯構成としているケーブルです。非常に柔らかいケーブルで取り回しが良く、純正ケーブルに起因する装着感の悪さを大きく改善できました。
音の変化は8芯銀メッキということで高音が強くなる傾向だと予想していました。予想通り高音が少し強くなりましたが、低音の変化が最も大きいと感じました。純正ケーブルではいまいちキレがない印象でしたがTDY4ではややキレが増す方向に変化しました。サブベース域は弱いままですがキレが増したことによって低音をより楽しめるようになりました。

総評

NICEHCK DB3は3000円前後という価格からは想像できない、本当に価格以上の品質を実現したイヤホンです。中華イヤホンという枠から一歩出ていると言ってもいいんじゃないかなと思います。このレベルのイヤホンを3000円で出してきてしまう底力は侮れません。
格安中国製イヤホンの入門機としてもおすすめできます。マニア向けなところもありますが、音質は価格以上に良いですし音の傾向も人を選ぶようなものではありません。リケーブルにも対応していて沼の入り口としても優秀です。TRN BT30やFiiO UTWS5(2pinは未発売)と組み合わせれば下手にTWSを買うよりも良いものが手に入るでしょう。

個人的なおすすめ度は最高クラスです。店頭での試聴はほぼできない製品ですが、中低音が明朗なサウンドが好きならほぼ間違いなく気に入ると思います。